2023年3月の英BBCによる報道を契機に表面化した、ジャニーズ事務所の創設者・ジャニー喜多川による性加害問題。喜多川はジャニーズ事務所設立前の1950年代から2010年代半ばまでの間、長期間かつ広範にわたってジャニーズJr.らに対して性加害を繰り返したとされる。外部専門家による再発防止特別チームの調査報告書を受け、2023年9月7日には姪の藤島ジュリー景子社長が「事務所としても、個人としても、性加害はあったと認識している。被害者の皆さんに心からおわび申し上げる」と発言し、引責辞任した。
特別チームの報告書は、姉のメリー喜多川副社長(当時)が喜多川の性加害行為を放置・隠蔽し、事務所が適切な対応を行わなかったと指摘。ジュリー氏や白波瀬傑氏についても、監視・監督義務を果たす必要があったとし、任務懈怠によって損害賠償責任を負うと考えられると報告した。性加害の対象は主に13歳から15歳の男子で、中には小学3年生位の子から相談されたとの証言もある。断ると仕事が無くなるなどの冷遇を受け、事後に金銭の授与が行われるケースもあったとされる。
被害を訴えた人々への誹謗中傷も深刻な問題となった。2023年10月13日未明には、「当事者の会」に所属していた大阪府内の40代の男性が自ら命を絶った。男性は同年5月に旧ジャニーズ事務所に電話で1995年(当時19歳)の性加害を訴えたが、5カ月以上連絡がなく、9月に再度告発した後も応答がなかった。SNS上での誹謗中傷に悩んでいたという。遺族の代理人弁護士は「真摯で適切な対処を求めてまいります」とコメントした。
国連のビジネスと人権に関する作業部会も注目し、補償が被害者ニーズを満たすには遠いと批判。旧事務所の後継社である「SMILE-UP.」社は2025年2月末現在、1018人の申告を受け、被害者救済委員会の手続きを経て540人に補償金支払いを行った。2024年12月には時効が適用されないラスベガスでの性加害について、元ジャニーズJr.2名が米ネバダ州の裁判所にSMILE-UP.や元幹部らを相手取り提訴した。日本芸能界最大のスキャンダルとして、被害者救済と再発防止の行方が今も問われ続けている。