SMILE-UP.(スマイルアップ、旧ジャニーズ事務所)の東山紀之社長は9月28日、東京都内で記者会見し、任期満了で9月末に同社社長を退任すると明らかにした。創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題の被害者救済について「区切りを付けるわけではない。社長を離れても個人としてこの問題に向き合っていきたい」と強調した。退任の理由に関しては、法的な手続きが中心になることから経営体制の変更がふさわしいと説明。同社のチーフ・コンプライアンス・オフィサーを務める山田将之弁護士が10月から社長を兼任し、藤島ジュリー景子代表取締役は留任する。
スマイル社によると、9月28日時点で計1047人から補償の申告があり、587人に補償内容を通知し、うち578人に支払った。一方、231人には補償を行わないと連絡し、226人とは連絡が取れない状態だという。旧事務所は社名をスマイルアップに変更し、被害者への補償を終えた後に廃業する方針を示している。スマイル社は補償などを求める訴訟を国内で4件、米国で2件起こされている。
こうした中、性被害を訴える当事者が賠償を求めた訴訟で、初の司法判断が示された。東京地裁は9月24日、1993年7月ごろにテレビ番組の収録現場を見学している際、喜多川氏にトイレに連れて行かれて性被害を受けたとして、男性がスマイル社に約900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、請求を棄却した。中野琢郎裁判長は「男性に対する性加害が存在したと認めるに足りる証拠はない」と判断した。判決は、喜多川氏が人目に付きやすい状況で声をかけてトイレに連れて行くことは不自然と指摘。男性が事務所に所属していたことを直接示す資料が存在しない中、約30年前の事実確認には相応の期間が必要だとし、男性の主張を退けた。
男性は取材に対し「世間の波風を立てないよう、最も無難で安全な判決に着地させられた気持ちです」と述べた。スマイル社は「当社の主張が裁判所に受け入れられたものと認識している」とのコメントを出した。
東山社長は会見で、芸能界復帰について問われると「具体的にはまだ何も考えていない」と述べた。性加害問題の発覚から数年が経ち、補償の手続きは進んでいるものの、国内外での訴訟が続く中で、問題の完全な幕引きにはまだ時間がかかりそうだ。