元タレントの中居正広氏(53)とフジテレビをめぐる一連の問題は、日本のテレビ業界を揺るがす未曾有の不祥事へと発展している。フジテレビが設置した第三者委員会は報告書の中で、中居氏による女性への性暴力を認定。「業務の延長線上における性暴力」と位置づけた。被害女性は「行かないと仕事に差し障ると思った」と証言し、報告書では中居氏とフジ社員の部長級幹部との生々しいやり取りも指摘された。第三者委は社員の関与自体は認めなかったものの、局の体質に対する厳しい批判は免れなかった。
問題は2024年末から2025年初めにかけて表面化した。中居氏の女性トラブルが報じられた後、フジテレビの対応に疑問が噴出し、スポンサー企業が相次いでCM出稿の差し止めを決定した。最初に方針を打ち出した日本生命やトヨタといった財界のトップ企業が動いたことで、この動きは一気に業界全体へ広がった。東京商工リサーチによれば、フジ・メディア・ホールディングスと取引関係にある事業者は2025年1月時点で9,654社に及んでおり、影響の広がりが懸念された。
業績への打撃は甚大だ。2025年5月に発表されたフジテレビの2025年3月期決算の純損益は、328億円の赤字となった。要因は多数のCMスポンサーの撤退による広告収入の激減だ。フジテレビはCM枠の料金を請求しない方針をスポンサーに通知し、1〜3月期のCM差し止め分だけで200億円規模の損失が出るとの内部試算も報じられた。フジテレビの広告収入は年間約1473億円(2023年度)で売上の約6割を占めており、経営の根幹が揺らいでいる。
こうした状況を受けて、番組制作費の大幅なカットが厳命されている。広告代理店関係者によれば、ゴールデン帯のバラエティ番組でさえかつての深夜枠程度の予算になるとも言われており、視聴率が取れていない番組を続ける余裕はなくなっている。朝の情報番組『サン!シャイン』はわずか1年で2026年3月末に終了することが報じられ、『呼び出し先生タナカ』や『この世界は1ダフル』といった番組にも終了説がささやかれている。
この問題は日本社会におけるメディアと権力の関係にも一石を投じた。格付投資情報センターはフジ・メディア・ホールディングスの格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ、業界の再編にもつながる動きが続いている。フジテレビが信頼を回復し、CM収入を取り戻せるのかは依然として不透明で、日本の放送業界全体がこの問題の行方を注視している。