元タレントの中居正広氏による女性とのトラブルに端を発する問題で、フジテレビと親会社フジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会(委員長・竹内朗弁護士)は3月31日、調査結果をまとめた報告書を公表した。第三者委は、トラブルを中居氏と女性との関係性や両者の権力格差、タレントと社員との会食を巡る業務実態などから「『業務の延長線上』における性暴力であった」と認定し、「重大な人権侵害行為にあたる」とした。
第三者委は、女性が2023年6月2日に中居氏の自宅に招かれ、性暴力被害を受けたと認定した。被害女性は当初複数人でのホームパーティーと聞いていたが、参加者が2人になったことを知りつつ「行かないと仕事に差し障るだろうと思って行った」と上司に報告していたという。トラブル発覚直後、フジ幹部が弁護士を紹介するなど中居氏の利益のために動いた行為については「2次加害行為に当たる」と指摘し、港浩一社長(当時)らを「性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」などと厳しく指弾した。
3月31日夕から夜にかけ、東京・台場のフジ本社で第三者委とフジがそれぞれ記者会見した。竹内弁護士は「時代の変化に即応して経営をアップデートしてこなかったことが、この事態を招いた。取締役会メンバーの経営責任は重い」と語った。フジの清水賢治社長は約3時間続いた会見の冒頭で「会社としての救済が十分でなかった結果、被害女性に対して大変つらい思いをさせてしまった。心よりおわび申し上げます」と謝罪し、ハラスメントが社内にまん延していたという指摘を受け「必要な事実確認をした上で速やかに関係者に対する厳正な処分をする」との方針を示した。
問題は2024年12月の週刊誌報道で表面化した。1月17日に港社長らが記者会見したものの「説明責任を果たしていない」との批判を浴び、スポンサー離れが一気に広がった。フジとフジ・メディアHDは1月23日、日本弁護士連合会のガイドラインに基づき弁護士3人で構成する第三者委を設置。フジは3月27日、40年以上取締役を務めた日枝久取締役相談役の退任を含む経営体制の刷新を発表していた。
中居氏は1月9日、女性とのトラブルを事実と認めて謝罪コメントを発表。会見などで真相を説明しないまま1月23日に芸能活動を引退した。スポンサー離れによる広告収入の減少はフジの経営を直撃しており、人権・コンプライアンス対応の強化策の実効性が問われている。
中居氏の引退とフジの経営体制刷新を経ても、スポンサー離れによる広告収入の減少は続いており、フジの業績への影響は長期化している。第三者委が指摘した社内のハラスメント体質の改善策がどこまで実効性を持つかが、経営再建の試金石となる。