フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会は2025年3月31日、中居正広氏による元女性アナウンサーへの性暴力を「業務の延長線上」における重大な人権侵害と認定する調査報告書を公表した。放送業界最大級のスキャンダルとして、スポンサー離れや経営陣の総退陣にまで発展した問題に、第三者委が厳しい評価を下した。

第三者委(委員長・竹内朗弁護士)は報告書で、2023年6月2日に女性が中居正広氏の自宅に招かれ、性暴力の被害を受けたと認定。中居正広氏と女性の関係性や権力格差、タレントと社員の会食をめぐる業務実態などから、「『業務の延長線上』における性暴力であった」と結論づけ、世界保健機関(WHO)の定義に基づく「性暴力」にあたるとした。

さらに報告書は、フジ幹部の対応も厳しく指弾した。トラブル発覚後、フジ幹部が中居正広氏の利益のために動いた行為を「2次加害行為に当たる」と指摘。当時の港浩一社長らについて「性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」と批判し、社内にハラスメントがまん延していたとの評価も示した。

問題が表面化したのは2024年12月の週刊誌報道がきっかけだった。中居正広氏は2025年1月9日にトラブルを事実と認めて謝罪し、同月23日に芸能活動からの引退を表明。フジテレビは1月17日にテレビカメラを締め出した閉鎖的な記者会見を行い、これが決定打となってスポンサー企業の大半がCM放映を差し止め、ACジャパンの公共広告への差し替えが相次いだ。1月27日には嘉納修治会長と港浩一社長が引責辞任し、3月27日には40年以上取締役を務めた日枝久取締役相談役の退任を含む経営体制の刷新が発表された。

3月31日の会見でフジの清水賢治社長は「被害女性に対して大変つらい思いをさせてしまった。心よりおわび申し上げます」と謝罪し、関係者の厳正な処分や人権・コンプライアンス対応の強化を約束した。この問題は他の放送局にも波及し、業界全体でハラスメントの有無やコンプライアンスの見直しが進むきっかけとなった。放送業界の体質を問う試金石として、今後の改革の行方が注目されている。