ドジャースの大谷翔平選手の元通訳を務めた水原一平が、違法賭博で作った借金の返済のために大谷の銀行口座から無断で約1700万ドル(約26億4000万円)を送金していた事件。2024年シーズンの開幕翌日に発覚し、水原は球団から即座に解雇された。米連邦捜査の結果、水原は銀行詐欺などの罪で訴追され、2025年2月に連邦裁判所から4年9月の懲役刑と1810万ドル超(約28億円)の賠償金の支払いを命じられた。同年6月にはペンシルベニア州の刑務所に収監された。
事件の背景には、水原が違法なブックメーカーを利用して賭博にのめり込み、莫大な負債を抱えたことがあるとされる。大谷選手自身の関与は否定されており、MLBも処分を見送ったが、米国社会では一時期「共犯説」が執拗にささやかれるなど、世界的スターを巻き込んだスキャンダルとして全米を巻き込む大騒動になった。MLBは過去に1919年の「ブラック・ソックス事件」をはじめ、賭博をめぐるスキャンダルに何度も見舞われてきた歴史があり、野球賭博には極めて厳しい姿勢で知られる。
事件の余波は今も続いている。違法賭博の胴元だったマシュー・ボーヤーは不正賭博運営と資金洗浄の罪で禁錮1年1日の判決を受けた。さらに2025年11月には、米ネバダ州の賭博管理委員会が、ボーヤーに不正の疑いがあったにもかかわらず見逃して賭博をさせたとして、ラスベガスの大手カジノ「シーザーズ・パレス」に780万ドル(約12億円)の罰金処分を科した。この違法賭博事件にからんで罰金処分を受けたカジノはこれで3つ目となった。
一方、この事件を題材にしたドラマの制作が正式に始動したことも話題を呼んでいる。ライオンズゲート・テレビジョンが制作し、「ワイルド・スピード」シリーズで知られるジャスティン・リンが監督を務め、映画「AIR/エア」のアレックス・コンヴェリーが脚本とショーランナーを担当する。放浪生活を送っていた水原が賭博スキャンダルに巻き込まれるまでの軌跡を描くという。ただし、各テレビ局がMLBとの関係悪化を懸念して及び腰になっているとも伝えられ、配信先の行方にも注目が集まっている。