大谷翔平の専属通訳を長年務めた水原一平が、違法ブックメーカーへの賭博で抱えた借金の返済のため大谷の銀行口座から約1700万ドルを不正送金した事件で、米連邦地裁は禁錮4年9月と約28億円の賠償を命じた。大谷は捜査当局から被害者と認定され、事件はドラマ化もされるなど日米で大きな波紋を呼んだ。
事件が発覚したのは2024年3月、韓国・ソウルでのMLB開幕シリーズの直後だった。大谷の口座から違法なブックメーカーへの送金が判明し、ドジャースは水原を即座に解雇した。胴元は南カリフォルニアで違法賭博を運営していたマシュー・ボーヤーで、水原はスポーツ賭博にのめり込んで巨額の借金を抱え、その返済のために大谷の口座から繰り返し送金していた。総額は約1697万ドル(約26億4000万円)にのぼった。
水原は銀行詐欺罪と虚偽の納税申告罪で起訴され、有罪を認めた。2025年2月、カリフォルニア州サンタアナの連邦地裁は水原に禁錮57カ月(4年9カ月)と1810万ドル超(約28億円)の賠償金支払いを命じる判決を言い渡し、同年6月にペンシルベニア州の刑務所に収監された。FBIやMLBの調査では大谷の関与は否定され、大谷は被害者と認定された。胴元のボーヤーにも禁錮1年1日の判決が下り、2025年11月にはネバダ州賭博管理委員会が、ボーヤーに賭博をさせていたとしてラスベガスの大手カジノ「シーザーズ・パレス」に780万ドル(約12億円)の罰金処分を科した。
事件は映像化の動きにもつながっている。米ライオンズゲート・テレビジョンがドラマ化を発表し、「ワイルド・スピード」シリーズのジャスティン・リンが監督を務めることが報じられた。一方、大谷はドジャースと10年総額7億ドルの契約を結び、移籍後2年連続でワールドシリーズ制覇とシーズンMVPに輝くなど、グラウンドでは前人未到の活躍を続けている。
発覚の経緯も劇的だった。米スポーツ専門局ESPNの取材に対し、水原は当初「大谷が借金を肩代わりしてくれた」と説明したが、その後発言を撤回。大谷は2024年3月26日に記者会見を開き、「悲しく、ショックだ」と語り、自身の関与を否定した。米内国歳入庁の犯罪捜査部門などが捜査を進め、水原は2024年6月に銀行詐欺などの罪で有罪を認めた。
量刑は禁錮57カ月に加え、釈放後の3年間の保護観察と1810万ドル超の賠償金支払いが命じられた。胴元のマシュー・ボーヤーにも禁錮1年1日の判決が下った。一方、大谷は2024年シーズンに史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成し、ドジャースのワールドシリーズ制覇に貢献。2年連続のシーズンMVPにも輝き、スキャンダルをグラウンドでの圧倒的な活躍で払拭してみせた。
大谷の代理人は事件発覚後、速やかに当局に通報し、捜査に全面的に協力した。ドジャースも水原の解雇を発表する声明で、大谷が被害者であるとの認識を示した。水原は刑期満了後に日本へ強制送還される可能性が報じられており、約28億円の賠償金をどう返済していくのかも注目されている。
事件は、トップアスリートの資産管理や通訳など側近への権限集中のリスクを浮き彫りにした。MLB各球団では選手の口座管理や側近の身辺調査の見直しが進んだとされる。大谷は事件後もファンからの支持を失わず、グッズ売上やスポンサー契約は堅調を維持。スキャンダルを乗り越えたスーパースターの姿は、日米のスポーツビジネスに新たな教訓を残した。
大谷は事件後の2024年シーズン、史上初の「50本塁打・50盗塁」を達成し、ナ・リーグMVPに輝いた。ドジャースはワールドシリーズを制覇し、翌2025年も連覇を達成。大谷自身も2年連続のシーズンMVPに輝くなど、グラウンドでの活躍はとどまるところを知らない。
事件のドラマ化は米ライオンズゲート・テレビジョンが進めており、「ワイルド・スピード」のジャスティン・リンが監督を務めると報じられた。放浪生活を送っていた水原が賭博スキャンダルに巻き込まれるまでの軌跡を描くという。世紀のスキャンダルは、映像作品としても消費される時代の象徴となっている。