2023年12月末、「週刊文春」がダウンタウンの松本人志(62)による性的行為強要疑惑を報じた。松本は2024年1月に芸能活動を休止し、名誉を傷つけられたとして文藝春秋と週刊文春編集長を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こした。お笑い界の頂点に立つ人物をめぐるスキャンダルは、日本の芸能界に大きな衝撃を与えた。

ところが2024年11月8日、松本の代理人弁護士は訴えを取り下げたと明らかにした。松本側のコメントでは「松本が訴えている内容等に関し、強制性の有無を直接に示す物的証拠はないこと等を含めて確認いたしました」とし、「裁判を進めることで、これ以上、多くの方々にご負担・ご迷惑をお掛けすることは避けたい」と取下げの理由を説明。「かつて女性らが参加する会合に出席しており」「参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」と謝罪した。

文春側のコメントによると、取下げに際して金銭の授受は一切なく、被害を訴える女性らと協議の上で取下げに同意したという。記事の核心である性的強要の有無について、松本側のコメントでは直接的な言及はなかった。

一方、この問題に関連する別の裁判では2025年11月25日、東京地裁が講談社に220万円の支払いを命じる判決を下した。お笑いコンビ「クロスバー直撃」の渡邊センス(41)が、写真週刊誌「フライデー」発行元の講談社に損害賠償1100万円などを求めていた訴訟で、葛西功洋裁判長が計220万円の支払いを命じた。問題となったのは、松本の性的行為強要疑惑の関連として、フライデーが2018年に実施された松本と渡邊らの酒席に参加した女性への対応をめぐって掲載した記事。渡邊は判決後に「完全に勝ったりました。完勝です」と笑顔を見せた。謝罪文の掲載請求は棄却され、双方が控訴を検討する可能性も残されている。

松本本人は2025年に入り、テレビへの復帰に向けた動きも伝えられているが、世論の受け止めは分かれたまま。お笑い界の盟主をめぐる一連の騒動が、日本の芸能界の「飲み会文化」や権力構造に投げかけた問いは、今も尾を引いている。