「週刊文春」2023年12月27日発売号は、お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志による性加害疑惑を報じた。2015年に東京都内の高級ホテルで開かれた飲み会で、複数の女性が松本氏から性的行為を強要されたと証言したという内容だった。松本氏側は「性加害に該当するような事実はない」と否定し、吉本興業も当初は報道を「事実無根」とするコメントを出した。
報道の反響は大きく、スポンサー企業がCMの差し替えを進めるなど影響が拡大。松本氏は2024年1月8日、「裁判に注力するため」として芸能活動の休止を発表した。そして1月22日、発行元の文藝春秋と週刊文春編集長を相手取り、5億5000万円の損害賠償などを求める名誉毀損訴訟を東京地裁に起こした。裁判では双方の主張が対立し、長期化の様相を見せていたが、同年11月8日、松本氏側は訴えを取り下げると発表。「多くの方々にご迷惑をおかけした」としてお詫びのコメントを出し、文藝春秋側も取り下げに合意した。双方は「和解ではない」との立場を示している。
松本氏はその後、活動再開に向けて動き出したが、テレビ各局の対応は慎重で、復帰の形をめぐっては今も議論が続いている。週刊誌報道と芸能人の名誉をめぐる裁判の在り方、そしてテレビ界の「松本人志依存」とも言われた構造に一石を投じた騒動として、芸能史に残る一件となった。
吉本興業は当初「事実無根」との立場を示していたが、松本氏の活動休止後は「裁判の推移を見守る」との姿勢に転じた。後輩芸人たちからは松本氏を擁護する声と、被害を訴える女性たちへの配慮を求める声が交錯した。文藝春秋側は一貫して「記事には十分な裏付けがある」と主張。訴えの取り下げ後、松本氏は活動再開に向けて動き出したが、テレビ各局の起用には慎重論も根強く、完全復帰への道のりは平坦ではない。
松本氏の休止中、ダウンタウンの相方・浜田雅功は単独での活動を続け、コンビの番組は体制を変更して放送された。松本氏のいないお笑い界の構図の変化も、業界内で語られるようになった。