2024年3月22日、小林製薬(大阪市)が紅麹を使ったサプリメントの健康被害や自主回収を発表し、日本の製薬業界を揺るがす大規模な健康被害事件が発覚した。対象は悪玉コレステロールを下げる効果をうたった「紅麹コレステヘルプ」など機能性表示食品として届け出た3商品。摂取した消費者らから腎疾患などの健康被害の報告が相次ぎ、入院者数は240人以上、相談件数は延べ9万4000件(2024年4月18日現在)に達した。
死者数の推移も波紋を広げた。3月28日時点で同社が確認した死亡例は4人だったが、6月28日に厚生労働省は、サプリ服用との関連が疑われる死者が新たに76人判明したと公表。小林製薬が4月以降「死者5人」と公表し続け、独断で死者数の更新を行っていなかったことが判明し、武見敬三厚労相は「遺憾」と表明。以降は厚労省が直接調査を引き継いだ。同社には遺族からの問い合わせが170件寄せられていた。
原因は、サプリに使われた紅麹原料の一部に混入した想定外の物質「プベルル酸」とされる。原料は同社の大阪工場(2023年12月末で閉鎖)や子会社の梅丹本舗紀の川工場で生産されていた。大阪市は3月27日、食品衛生法に基づき「紅麹コレステヘルプ」など3製品計約100万個の回収を同社に命じた。同社の紅麹原料は他社にも供給されており、菓子やパン、酒、味噌などに使われていたことから、原料を使った商品を扱う企業は170社以上に上り、自主回収が相次いだ。台湾でも急性腎不全などの健康被害6件が報告された。
3月29日には小林章浩社長らが大阪で記者会見し、深々と頭を下げて謝罪。補償対応を表明した。しかし事態は収束せず、7月22日に小林一雅会長と小林章浩社長が引責辞任。同社は8月6日までに紅麹関連製品の製造販売からの撤退を表明した。機能性表示食品制度の在り方も問われることになり、消費者庁は制度の見直しに着手した。