会計不正が明らかになっているモーター大手ニデックは2026年9月30日、公表を延期していた2026年3月期連結決算を発表した。会計不正などによる想定を上回る6321億円の減損損失を計上し、最終損益は5646億円の赤字(前期は846億円の黒字)に転落した。売上高は約2兆7000億円だったが、過去最大の赤字となった。
ニデックは同日、2026年3月期の有価証券報告書を関東財務局に提出した。監査法人を務めるPwCジャパンは、同社の財務諸表に対する監査意見として、正しいかどうかが判断できない「意見不表明」を付けた。2025年3月期、2025年4〜9月期に続き3回目の意見不表明となる。PwCジャパンは意見不表明の根拠として「十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった」と指摘。さらに「会計監査人に対して虚偽の説明を行った役職員の一部は、現時点でも財務報告プロセスにおいて責任ある立場を担っている」としている。
問題の発端は2025年だ。ニデックは2025年6月に有価証券報告書の提出期限を延期し、中国子会社などで不適切な会計処理の疑いが見つかったことから、同年9月に第三者委員会を設置した。2026年4月に公表された第三者委員会の最終報告書では、費用計上の回避や収益の過大計上など、グループの多くの拠点で会計不正が確認され、2021年3月期から2025年4〜6月期までの累計で、純利益に対するマイナス影響額は1607億円に達することが確定した。過去の「高収益」の一部が、適切でない会計処理によって嵩上げされていた実態が浮き彫りとなった。
問題は財務データだけに留まらなかった。2026年9月には社内調査委員会により、品質に関わる不適切な行為が新たに844件認定された。第三者委員会は原因として「過度な業績プレッシャー」と「永守氏の絶対性」を挙げ、再発防止策として「『永守氏の会社』からの脱皮」まで提言した。個々の会計不正について永守重信氏の直接指示は発見されなかったものの、一部の会計不正を把握しながら容認したとの評価は免れないと認定している。
経営責任を問う形で、9月29日には岸田光哉社長が辞任し、戒田理夫専務執行役員が同日付で社長に昇格した。ニデックは東京証券取引所から「特別注意銘柄」に指定されており、監査法人からお墨付きを得られない状態が続けば、上場を維持できるかが今後の焦点となる。第三者委員会等による調査費用など「特別調査費用等」として305億円も計上されており、改善活動は継続中で最終的な金額はさらに増える見込みだ。