不正会計や品質を巡る不適切行為が相次いで判明している電子部品大手のニデックは10月1日、9月29日付で就任した戒田理夫新社長が京都市南区の本社で記者会見し、一連の問題を陳謝した。戒田社長は「会社をとりまく状況について、多方面に大きな影響を与えたことを重く受け止めている。会社を立て直し、再び信頼していただける状態に戻すことが使命だ」「品質第一にした会社に戻す」と述べ、内部管理体制の改善を約束した。
ニデックは9月30日に発表した2026年3月期連結決算(国際会計基準)で、不正会計や構造改革に伴う減損損失6321億円を計上したことで、最終損益が過去最大の5646億円の赤字となった。前期は846億円の黒字だっただけに、一転した巨額赤字に市場の衝撃は大きかった。
さらに深刻なのが監査法人の対応だ。会計監査を担当するPwCジャパン有限責任監査法人は監査意見を表明しなかった。会見に同席した同法人の久保田正崇代表執行役はその理由について「不適切な行為に関与した役職員が、会社の財務報告プロセスで責任ある立場にいるため」などと説明した。監査法人による意見不表明の状態が続くと、上場廃止となる可能性もあり、ニデックにとっては上場維持が最大の焦点となっている。
ニデックはかつて、日本電産として創業者の下で急成長を遂げたモーター大手。積極的なM&Aと強気の経営で知られたが、創業者の引退後、ガバナンスの緩みが指摘されてきた。今回の不正会計問題では、子会社を含めた業績の水増しや、品質データの改ざんなど、組織的な体質の問題が浮き彫りになっている。
戒田新社長の下で経営再建が進むかどうかは、内部統制の立て直しと、取引先や投資家の信頼回復にかかっている。市場関係者は「まずは監査意見の表明を受けられる体制を整えることが先決。時間をかけた膿出しが必要だが、その間の資金繰りと上場維持の両立が試される」と指摘している。
ニデックは日本電産時代から積極的なM&Aで急成長したモーター大手だが、創業者の引退後はガバナンス体制の立て直しが課題とされてきた。今回の巨額赤字と監査意見不表明は投資家の信頼を大きく損なうもので、戒田新体制の下での再建の道筋が焦点となる。