株式の公開買い付け(TOB)をめぐり職務上知った公表前の情報をもとにインサイダー取引をしたとして、証券取引等監視委員会は2026年10月9日、金融商品取引法違反の疑いで、三菱商事の元社員である東京都の30代男性に対し、計187万円の課徴金を納付させるよう金融庁に勧告した。

監視委によると、当時三菱商事の社員だった男性は2024年5月28~29日、三菱商事の子会社が関与する永谷園ホールディングスへの公開買い付けをめぐり、職務上知った未公開情報をもとに、自己名義の口座でTOB実施前に永谷園株2000株を約439万円で買い付け、TOB公表後に約620万円ですべて売却。約180万円の差益を得ていた。

三菱商事によると、男性はすでに懲戒解雇処分となり退職している。同社の担当者は「このような事態が発生したことを社として重く受け止めており、関係者の皆様に深くおわび申し上げます」とコメントした。監視委の担当者は、上場企業に在籍しながら職務上知った情報をもとに取引を行った悪質な事案だと指摘した。

大手商社の社員によるインサイダー取引の発覚は、市場の公正性への信頼を揺るがす事案として注目されている。金融庁の処分の行方とともに、各社のコンプライアンス体制のあり方が問われそうだ。