2023年3月7日、英BBCがドキュメンタリー番組「Predator: The Secret Scandal of J-Pop」を放送した。元ジャニーズJr.(仮名ハヤシ、被害当時15歳)らが、ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川氏(2019年死去)から10代の頃に継続的に性的虐待を受けていたと証言した。同月、「週刊文春」も被害当時13歳だった元Jr.の証言を掲載し、波紋が広がった。
4月12日には元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトが日本外国特派員協会で記者会見し、被害を実名で告発。5月17日にはNHK「クローズアップ現代」で元Jr.の二本樹顕理が証言した。番組では、被害者が当時「スターになりたければ我慢しなければならない」と少年同士で話し合っていたことや、加害者が「グルーミング」によって被害者を心理的に支配していたことが指摘された。
実はこの問題は、以前から報じられていた。1988年には元フォーリーブスの北公次が暴露本「光GENJIへ」を出版し、1999年には「週刊文春」が11月から12月にかけて5週連続で被害証言を掲載した。しかし、日本のマスメディアは事務所との関係悪化を恐れて大きく報じず、社会も「それが芸能界」として見て見ぬふりをしてきた。BBCの報道が、この長年の沈黙を破ったのだ。
2023年5月、藤島ジュリー景子社長は動画メッセージで謝罪したが「知らなかった」と主張。これに対し、元タレントの近藤真彦は「知っていた」と反論した。同年9月、事務所は社名をSMILE-UP.に変更し、被害補償に専念。新会社STARTO ENTERTAINMENTがタレントマネジメントを引き継いだ。東山紀之社長の退任(2026年)も、この問題の長い影の中で起きた出来事である。日本の芸能界の構造を問い直す契機となったこの問題は、補償の完了まで終わらない。