2023年4月28日、ダイハツ工業は海外市場向け4車種の側面衝突試験の認証申請における不正行為を、内部通報で確認したと発表した。対象はマレーシアの現地合弁会社で販売する「プロドゥア・アジア」やトヨタブランドの「アギア」「ヤリスATIV」などだった。同年5月には、国内向けハイブリッド車「ロッキー」とトヨタ「ライズ」でも側面衝突試験の手続きに不正が見つかった。
同年12月20日、同社が設置した第三者委員会(委員長・貝阿弥誠弁護士)は調査結果を公表した。不正の件数は174件で、対象車種は生産終了車種も含め64車種に拡大。具体的には、側面衝突試験で本来は衝撃で作動させるエアバッグをタイマーで故意に作動させて試験成績書を作成したり、衝突時の燃料漏れ試験の成績書に別の車両の車台番号を記載したり、排ガス・燃費試験で試験直前に触媒を新品に取り替えたりしていた。最も古い不正は1989年から確認され、2014年以降急増していた。
調査報告書は、不正が起きた直接の原因について、短期間での新車開発を重視する社内風土を挙げた。「強烈なプレッシャーの中で追い込まれた従業員が不正行為に及んだ」とし、「経営幹部は不正の未然防止や早期発見に向けた対策を何ら講ずることなく短期開発を推進した」として経営陣の責任を強調した。会見した奥平総一郎社長は「お客様の信頼を裏切ったことを大変重く受け止めている」「全ての責任は経営陣にある」と陳謝した。ダイハツはトヨタ自動車の完全子会社であり、会見に同席したトヨタの中嶋裕樹副社長は「OEM供給車が増えたことがダイハツの現場の負担を大きくした可能性がある」と話した。
事態を重く見た国土交通省は12月21日に大阪府池田市の本社に立ち入り検査に入り、斉藤鉄夫国交相は「自動車ユーザーの信頼を損ない、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為で断じて許されない」と述べた。2024年1月には3車種の「型式指定」が取り消され、同年3月に奥平社長と松林淳会長が退任。同年6月、不正のあった全車種・エンジンの調査が完了し、問題は解決に至った。