ダイハツ工業で車両の認証試験に不正があった問題で、同社が設置した第三者委員会(委員長・貝阿弥誠弁護士)は2023年12月20日、調査結果を発表した。不正の件数は174件で、対象車種は生産終了車種も含め64車種に拡大。同社は報告書を受け、国内外の工場で全車種の生産・出荷を停止すると発表した。衝突試験では本来は衝撃で作動させるエアバッグを故意に作動させて試験成績書を作成し、排ガス・燃費試験では試験直前に触媒を新品に取り替えるなどの不正があった。
不正の発覚は2023年4月28日、内部通報により海外市場向け4車種の側面衝突試験の認証申請における不正行為を確認したと発表したことに始まる。同年5月19日には、国内向けハイブリッド車2車種(「ロッキー」とトヨタブランドの「ライズ」)の側面衝突試験の手続きにも不正が見つかり、同社はテレビコマーシャルを自粛した。同年5月31日には独立した第三者委員会による全容解明が発表された。
第三者委の調査報告書によると、不正は1989年から確認され、2014年以降に急増していた。不正が起きた直接の原因について、報告書は短期間での新車開発を重視する社内風土を挙げ、「強烈なプレッシャーの中で追い込まれた従業員が不正行為に及んだ」とした。経営陣の組織的な関与は否定したものの、「経営幹部は不正の未然防止や早期発見に向けた対策を何ら講ずることなく短期開発を推進した」として経営陣の責任を強調した。
調査報告書の公表を受けて記者会見したダイハツの奥平総一郎社長は「お客様の信頼を裏切ったことを大変重く受け止めている」と陳謝。「全ての責任は経営陣にある」としつつも、進退には言及しなかった。その後2024年2月13日、問題の責任を取り、奥平社長と松林淳会長が2024年3月1日付で退任することが発表された。
事態を重く見た国土交通省は2023年12月21日に大阪府池田市の本社に立ち入り検査に入り、2024年1月26日には特に悪質な不正が確認された3車種について大量生産に必要な「型式指定」を取り消した。ダイハツはトヨタ自動車の完全子会社で、OEM供給を通じてトヨタやマツダ、スバルなど多くのメーカーを巻き込む問題に発展。日本の自動車認証制度の根幹を揺るがす事件として、その影響は今も業界に残っている。
ダイハツは2024年4月に「軽自動車を中心に据えたモビリティカンパニー」を目指す方向性を公表し、開発・認証の責任体制をトヨタと分担する形へ見直した。認証不正の再発防止への取り組みは、業界全体の信頼回復とともに今も続けられている。