2018年11月19日、東京地方検察庁特別捜査部は日産自動車の代表取締役会長カルロス・ゴーンと代表取締役グレッグ・ケリーを、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕した。ゴーン自身の役員報酬を計約50億円過少に記載した有価証券報告書を提出したというもので、同日、日産の取締役会はゴーンの会長・代表取締役からの解任を決議した。
2019年9月、日産の社内調査によりゴーンらによる一連の不正が総額350億円規模にのぼると公表された。子会社の投資資金のうち約2700万米ドルをブラジルとレバノンのゴーン個人のための住宅購入に流用したほか、実体のないコンサルティング契約で実姉に75万米ドル超を支払い、コーポレートジェットを私的に利用するなど、日産資産の私的流用が認定された。
ゴーンは2019年3月に保釈金10億円で保釈されたが、同年4月に再逮捕された。そして同年12月30日、保釈中に日本から密出国し、レバノンへ逃亡した。音響機材の箱に隠れ、プライベートジェットを利用したという映画のような逃亡劇で、15億円の保釈金は没収された。2020年1月2日には国際刑事警察機構(ICPO)が赤手配書を出し、同月8日、ゴーンはベイルートで記者会見し「日本の政治と司法の迫害から逃れるためだった」と主張した。逃亡を手助けした元米軍特殊部隊員のテイラー父子は日本に引き渡され、有罪判決を受けた。
ケリーは2022年3月に東京地裁で懲役6月・執行猶予3年の有罪判決を受け(上告中)、法人としての日産も罰金2億円の有罪が確定した。一方、ゴーンについては公判を開くことができず、裁判は止まったままだ。現在、ゴーンはベイルートの高級住宅街にある「ピンクハウス」と呼ばれる約28億5000万円の豪邸で暮らしているが、レバノンの裁判所から退去命令を受け、控訴中とされる。逃亡から6年、その波乱の人生はまだ終わっていない。