日産自動車のカルロス・ゴーン会長が2018年11月19日、有価証券報告書の虚偽記載の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。報酬約91億円を過少に記載した金融商品取引法違反の容疑で、側近のグレッグ・ケリー代表取締役も同時に逮捕された。日産・ルノー・三菱自動車の3社連合を率いたカリスマ経営者の逮捕は、世界の経済界に衝撃を与えた。日産は11月22日の取締役会でゴーン氏を会長職から解任した。

ゴーン被告は2019年3月6日に保釈されたが、4月4日に特別背任容疑で再逮捕され、4月25日に再保釈された。そして同年12月29日、保釈条件で課されていた監視を逃れ、プライベートジェットでレバノンへ逃亡。2020年1月8日にはベイルートで記者会見を開き、日本の司法制度を「人質司法」と批判して無実を主張した。

日本政府はレバノンに身柄引き渡しを求めたが実現せず、ゴーン被告は国際手配中だ。日産とルノーのアライアンスはゴーン体制の崩壊後に迷走し、経営の混乱が続いた。コストカッターとして日産を再建した名経営者の転落と前代未聞の逃亡劇は、日本の刑事司法の在り方をめぐる国際的な議論も呼び起こし、経済事件史に残る一件となった。

ケリー被告は2022年3月、東京地裁で懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。ゴーン被告はレバノンで生活を続け、日本への帰国や裁判に応じる姿勢は示していない。日産はゴーン体制の崩壊後、業績の低迷と経営の混乱が続き、2025年にはホンダとの経営統合協議が破談に終わるなど、苦境が続いている。逃亡劇から7年近くが経つ今も、日産のガバナンス問題は尾を引いている。

ゴーン被告の逃亡を手助けしたとして、米国人親子が逮捕・起訴され、実刑判決を受けた。逃亡劇の詳細は書籍やドキュメンタリーでも取り上げられ、国際的な関心を集め続けている。

ゴーン被告はレバノンで複数の訴訟を抱えながら、講演活動なども行っているとされる。日本での裁判が開かれる見通しは立っていない。