ZOZO創業者の前澤友作が鳴り物入りで進めた民間月旅行プロジェクト「dearMoon」は2024年、中止が発表された。世界から選ばれたアーティストらを月の周回旅行に招待する計画は、実現時期の見通しが立たないことを理由に幕を閉じた。
プロジェクトは2018年、米スペースXの大型宇宙船で月を周回する計画として発表され、前澤が全座席を買い取ったとされた。同行するクルーの公募には世界中から応募が集まり、K-POPアーティストや日本の写真家らが選ばれるなど、大きな話題を呼んだ。
しかし宇宙船の開発は遅れ、打ち上げ時期は繰り返し後ろ倒しになった。前澤は中止の理由として、計画の不確実さの中でクルーの人生を待たせ続けることへの責任を挙げ、謝罪した。選ばれたクルーからは落胆や困惑の声も上がった。
前澤はZOZO株の売却や宇宙旅行の実現など、常識にとらわれない行動で知られる実業家だ。実際に国際宇宙ステーションへの滞在は果たしたものの、月旅行の中止は、壮大な民間宇宙計画が開発スケジュールに左右される現実を示した。巨額の話題作りの末の撤退として、賛否の議論を呼んでいる。
民間宇宙旅行は技術の進歩とともに現実味を増しているが、計画の発表と実現の間には大きな距離がある。前澤のプロジェクトはその距離を世界に示した一方で、宇宙を身近にする話題づくりとしては、日本の実業家の中でも突出した存在感を残した。