SMBC日興証券の幹部や社員が、ブロックオファー取引に絡んで株価を維持しようと不正な買い注文を行ったとして、2022年に相場操縦の疑いで逮捕、起訴された。法人としての同社も起訴され、金融庁から一部業務停止命令を受けた。

ブロックオファーは、大株主が保有株を市場外で投資家に売却する取引で、対象銘柄の株価が下がると取引の成立に影響する。検察は、幹部らが自社資金で大量の買いを入れ、相場を不当に支えようとしたとみて捜査した。逮捕された役員らは共謀を否定し、正当な業務だったと主張した。

金融庁の処分では、問題となった取引に関する業務を2022年10月から2023年1月まで停止することが命じられたほか、親会社の三井住友フィナンシャルグループにも改善措置が求められた。社長らは謝罪し、経営責任の明確化や内部管理体制の強化を約束した。

大手証券のエクイティ部門の中枢が刑事事件化した例はまれで、市場の公正への信頼を損なった。公判では幹部らの認識や指示の有無が争点となり、証券会社の利益追求と法令順守の境界が改めて問われている。

相場操縦の摘発は、取引所の監視や証券取引等監視委員会の検査が端緒となることが多い。大手証券で幹部クラスが関与したとされる点がこの事件の特異性であり、現場の営業部門と管理部門の力関係の見直しにつながった。