2011年、オリンパスが過去の投資損失を長年にわたって隠し、企業買収を通じて処理していたことが発覚した。同年4月に社長に就いたマイケル・ウッドフォード氏が買収をめぐる高額な支払いを追及したところ、取締役会で解任され、事件は世界的な注目を集めた。
発端は、医療機器メーカーの買収などで巨額の手数料が支払われていたことへの疑問だった。ウッドフォード氏は外部の調査報告も踏まえて経営陣の引責を求めたが、会社側は経営方針の違いなどを理由に解任した。ウッドフォード氏が経緯を公表すると株価は急落し、会社は上場廃止の瀬戸際に立たされた。
その後、会社は第三者委員会を設け、バブル期に生じた損失の計上を先送りし、買収案件を使って穴埋めしてきたことを認めた。会長ら経営陣は辞任し、旧経営陣はその後、刑事責任を追及された。監査法人に対しても金融庁から業務改善命令が出た。
外国人社長が内部から不正を告発し、解任されるという異例の展開は、日本企業の閉鎖的な取締役会やガバナンスの弱さを象徴する事件として語られてきた。オリンパスはその後、医療事業を軸に再建を進めたが、事件は企業統治改革を促す転機の一つとなった。
事件後、日本では社外取締役の増員や監査委員会の強化など、欧米型のガバナンスを取り入れる動きが加速した。オリンパスの事例は、その流れを考える際の原点の一つとして、経営学や企業法の議論でも繰り返し取り上げられている。