野村証券では2024年、国債先物取引をめぐる相場操縦が発覚し、取引所から過怠金や一部取引の停止などの処分を受けた。同じ年には広島で元社員が顧客宅に押し入り現金を奪って放火したとされる事件も起き、金融機関としての信頼が大きく揺らいだ。
相場操縦の問題では、自己勘定取引で見せ玉と呼ばれる手法が使われたとされ、証券取引等監視委員会の調査を経て行政処分や取引所の制裁につながった。野村は再発防止策を公表したが、市場取引の公正を担う大手証券自身の違反として厳しい目が向けられた。
元社員による事件では、顧客だった高齢女性の自宅で現金を奪い、火を付けたとして強盗殺人未遂などの罪に問われた。後の裁判で懲役刑が言い渡され、控訴審でも支持されたと報じられている。営業社員が担当顧客の資産や生活情報を知る立場にあるだけに、衝撃は大きかった。
野村証券はその後、個人向け営業社員に信用情報の提出を求めるなど、借金などの悩みを早期に把握する不祥事防止策を打ち出した。富裕層営業のブランドを掲げる一方で、社員管理と顧客保護の実効性が問われ続けている。
証券会社の社員による犯罪や市場での不正は、顧客が資産を預ける前提である信頼を直接傷つける。業界では社員の私生活上のトラブルを組織として早期に察知する難しさと、個人情報への配慮のバランスが議論になっている。