三菱電機では、鉄道車両向け空調装置などで35年以上にわたって検査不正が行われていたことが2021年に発覚した。その後の調査で国内22拠点すべてを調べた結果、品質に関する不適切な事案は計197件に上った。
長崎製作所で作る鉄道用空調では、契約と異なる検査を実施し、結果を自動で作成する仕組みまで使われていたとされた。空気圧縮機や変圧器などでも不正が見つかり、変圧器では40年にわたる検査の不備が判明するなど、対象は主力製品に広がった。
社長は謝罪して辞任し、役員の処分も相次いだ。調査委員会は、実質的な品質に問題がなければ手続きを省いてよいという意識や、上司に意見しにくい組織文化を問題視した。会社側は安全性に問題はないと説明したが、顧客との契約違反は免れなかった。
三菱電機は品質、組織文化、ガバナンスの3つの改革を掲げた。しかし日本を代表する総合電機メーカーで、世代を超えて不正が受け継がれていた事実は重く、製造業の品質保証の在り方に大きな課題を残した。
鉄道や電力インフラに関わる製品の検査不正は、暮らしの安全基盤への信頼を揺るがす。長期間にわたって見過ごされた背景には、ベテランの経験への依存や、記録の電子化の遅れもあったとされ、現場の仕組みそのものの刷新が進められている。