2017年、神戸製鋼所がアルミや銅製品などの検査データを改ざんし、顧客の求める規格を満たさない製品を出荷していたことが発覚した。対象は自動車や航空機、新幹線などに広がり、納入先は最終的に600社を超えた。
同社の発表では、検査証明書の数値を書き換えるなどの不正が複数の工場で行われ、一部は約10年前から続いていた可能性も示された。製品は強度や耐久性に関するデータが偽られていたため、取引先各社は安全性の確認に追われた。
問題を受けて社長と副社長が引責辞任し、他の役員も報酬減額などの処分を受けた。外部調査では、納期やコストを優先する現場の風土や、品質部門の独立性の弱さが背景にあったとされた。
当時は他の大手メーカーでも検査不正が相次いで明らかになっており、神戸製鋼の問題は日本の製造業全体の品質神話を揺るがした。同社は再発防止と信頼回復を掲げたが、ものづくり大国の看板に傷がついた代償は大きかった。
データ改ざんは、発覚した時点では安全性に問題がないと説明されることが多い。しかし取引先が自ら確認作業を強いられる負担や、日本製品への信頼低下という形で、コストは社会全体に広がる。品質記録の正確さそのものが競争力だという意識改革が求められた。