KDDIは子会社のビッグローブと孫会社のジー・プランが手がけた広告代理事業で、売上の約99.7%にあたる累計2461億円が架空の循環取引だったと明らかにした。広告主からの発注が存在しないのに存在するかのように装い、複数の代理店を介して資金を回していたという。

特別調査委員会の報告書によると、不正は遅くとも2018年8月から2025年12月まで続き、取引先218社のうち21社との間で架空循環取引が行われていた。手数料などとして329億円がグループ外に流出し、営業利益への影響も大きく、KDDIは過年度決算の訂正に追われた。

発覚のきっかけは、経営会議で広告代理事業の急成長に懸念が示されたことや、会計監査人から循環取引の可能性が指摘されたことだったとされる。調査では、事業の赤字や売上目標への焦りが動機となり、主導した社員が社内で表彰を受けていたことや、取引先から飲食の提供を受けていたことも判明した。関与した社員は懲戒解雇となり、KDDIと子会社の経営陣は報酬返納や辞任で責任を取った。

その後も波紋は広がり、取引に関わった企業との間で損害賠償を求める訴訟と反訴が起きるなど、法廷闘争に発展している。通信大手の新規事業で、専門性の不足や子会社管理の甘さが長年の不正を見逃したと指摘されており、グループガバナンスの在り方が改めて問われている。

通信業界では新規事業の拡大が求められる一方で、数字の伸びだけを追う現場と、それを止める管理部門の距離が課題として残った。今回の件は、連結子会社であっても親会社の目が届かなければ不正は長期化するという教訓を、多くの企業グループに残したと言える。