2014年、通信教育大手ベネッセホールディングスの顧客情報が大量に流出し、名簿業者に売却されていたことが発覚した。流出したのは子どもや保護者の氏名、住所、生年月日などで、件数は約3500万件に上る戦後最大級の情報漏洩事件となった。
捜査の結果、グループ会社のデータベースにアクセスできる立場にあった派遣のシステムエンジニアが逮捕され、情報を不正に持ち出して売却したとして有罪判決を受けた。教育サービスに登録した家庭の情報が本人の知らないところで売買されていた事実に、保護者の怒りと不安が広がった。
ベネッセは顧客への謝罪とともに金券による補償を行い、原田泳幸会長兼社長ら経営陣が責任を取って辞任した。個人情報保護委員会の前身となる機関の調査でも、委託先管理やアクセス管理の不備が指摘された。
事件は、内部の人間による持ち出しが最大のリスクとなることを企業に突きつけ、日本の個人情報保護法改正の議論にも影響を与えた。子どもの情報を預かる事業者への信頼は大きく傷つき、情報セキュリティ対策の転機となった。
流出した情報には子どもの学習に関する情報も含まれ、教育サービスへの信頼は大きく揺らいだ。この事件以降、企業が扱う子どものデータの管理は社会的にも厳しく見られるようになり、内部不正への備えは経営課題の中心の一つになった。