金融庁は2026年10月9日、営業職員らによる金銭詐取問題が発覚した外資系生命保険大手のプルデンシャル生命保険と、グループ会社のジブラルタ生命保険に対し、保険業法に基づく一部業務停止命令と業務改善命令の行政処分を出した。停止期間は同年10月13日から2027年1月31日までで、この間は新規の保険募集や保険契約の締結ができなくなる。生命保険会社への業務停止命令は、2019年にかんぽ生命が不適切契約問題で3か月の処分を受けて以来で、免許取り消しに次ぐ重い処分とされる。

プルデンシャル生命が10月8日に公表した第三者委員会の調査報告書によると、社員らによる金銭詐取の被害額は申告ベースで約61億6000万円に上る。同日の記者会見では、得丸博充社長ら役員3人が月額報酬の30%を3か月間自主返納することや、詐取に関与した社員64人を懲戒解雇・諭旨解雇とするなど、計157人を処分したことが発表された。

金融庁は命令の中で、営業職員の管理体制などに「重大な欠陥がある」と指摘し、不正を防ぐ仕組みが事実上「無効化」していたと断じた。さらに、顧客の意向に沿わない保険業法違反の販売が約4000件あったことも認定。親会社のプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンに対しては、子会社の経営管理を怠ったとして業務改善命令を出した。3社には過去の取締役も含む経営責任の明確化と、11月30日までの業務改善計画の提出が求められた。

プルデンシャル生命は2026年2月から新規の営業活動を自粛しており、再開時期は見通せない状況が続いている。金融庁幹部は「対策は十分ではない。命令を踏まえ、計画を策定してほしい」とコメントしている。

同社は外資系生保として富裕層向けの営業に強みを持ち、長年にわたり高い成長を続けてきただけに、今回の不祥事は保険業界全体の信頼を揺るがす事態となった。顧客からの被害申告は今も続いており、補償や再発防止策の実効性が今後の焦点となる。