中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険金の不正請求問題で、2023年7月18日に公表された特別調査委員会の報告書は、板金塗装部門を中心とした組織的な水増し請求の実態を認定した。不要な修理を行ったり、修理費用を水増しして保険会社に請求する手口が、全国の店舗で横行していたという。

報告書の公表を受け、創業者の兼重宏行社長は7月25日に辞任を表明。長男の兼重宏一副社長も辞任した。損害保険各社は同社との保険代理店契約を取り消し、国土交通省は聴聞や立ち入り検査を実施。さらに店舗前の街路樹が枯死している問題も発覚し、会社側は除草剤を散布していたことを認めた。

2024年5月には、伊藤忠商事などが出資する新会社「WECARS」がビッグモーターの事業を継承し、再建への道を歩み始めた。中古車業界最大手の不正は、業界全体の信頼を大きく揺るがし、保険金不正をめぐる損保業界の審査体制にもメスが入るきっかけとなった。創業家によるワンマン経営の弊害が改めて問われる事例としても注目された。

WECARSは旧ビッグモーターの店舗網を引き継ぎ、社名変更と経営体制の刷新を進めている。兼重親子は経営から退き、表舞台から姿を消した。中古車業界では買取価格の透明化や整備の適正化への取り組みが進み、業界団体による自主規制の強化も議論された。保険金不正をきっかけに、損保業界の代理店管理の在り方も見直されることになった。

不正請求の手口は、ゴルフボールを入れた靴下で車体を叩いて傷を付けるなど、組織的かつ悪質なものだったと報告されている。顧客からの信頼回復のため、WECARSは整備記録の開示や第三者による監査の導入を進めているという。

ビッグモーターの不正は、中古車の買取・販売における不透明な商慣習にも光を当てた。消費者庁や国土交通省は、業界全体の監視強化に乗り出している。同種の不正の再発防止に向けた法整備の議論も進んでいる。