三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の資産が繰り返し盗まれた事件で、警視庁捜査2課は2025年3月10日、新たに現金1650万円を盗んだとして、元行員の山崎由香理被告(46)を窃盗容疑で再逮捕した。逮捕は3回目。山崎被告は2020年4月ごろから貸金庫業務の管理を任され、江古田支店(後に練馬支店と合併)と玉川支店の2支店で勤務した約4年半の間、顧客60人以上の貸金庫から、時価総額7億円以上の金塊と10億円以上の現金を盗み出していたとされる。

銀行がこの件を公表したのは2024年11月22日。貸金庫の管理責任者だった行員を懲戒免職にしたと発表した。警視庁によると、山崎被告は練馬支店から異動となる際、被害に遭った顧客の予備鍵とマスターキーを持ち出していた。練馬支店の防犯カメラには、帽子とマスクを着用して貸金庫に侵入する姿が映っており、異動後に窃盗が発覚するのを防ぐため金品を補填していたとみられる。

再逮捕容疑は2024年10月下旬ごろ、支店長代理を務めていた玉川支店の貸金庫に侵入し、行内に保管されていた予備鍵とマスターキーを使って、顧客の60代男性が利用する貸金庫を開け、現金1650万円を盗んだとしている。山崎被告は「現金に手をつけたのは間違いない」と容疑を認めているという。

山崎被告の動機はFX取引などによる損失の穴埋めだったとされる。2025年10月6日、東京地裁は「犯情はまれに見る悪いものだ」として懲役9年(求刑懲役12年)を言い渡した。被告側は控訴したが、2026年3月24日に東京高裁が一審判決を支持して控訴を棄却し、4月7日までに双方が上告しなかったため判決が確定した。

銀行の「最後の砦」とも言える貸金庫で起きた巨額窃盗事件は、金融機関の内部管理体制への信頼を大きく揺るがした。金融庁は2024年12月16日に三菱UFJ銀行に対し報告徴求命令を出し、同行は被害確認と補償、再発防止策の徹底を進めている。

三菱UFJ銀行は被害確認と補償、再発防止策の徹底を進めているが、顧客の不安の払拭には時間がかかるとみられる。貸金庫業務の管理体制の見直しは、メガバンク全体の課題として共有されている。