ビールの卸売業者向けの価格を調整するカルテルを結んだとして、公正取引委員会は2026年10月7日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、ビールメーカー大手4社への強制調査に入った。対象となったのは「アサヒビール」「キリンビール」「サントリー」「サッポロビール」の都内にある本社などで、公取委は裁判所の許可状に基づく「犯則調査権限」を行使し、検察への刑事告発を視野に調査を進める方針だ。
関係者によると、4社は数年前から、ビールの卸売業者向けの価格を調整するカルテルを結んでいた疑いが持たれている。4社は主に、加盟する業界団体「ビール酒造組合」で毎月第1木曜日に開催されていた「一木会」と呼ばれる会合に合わせ、本社の営業課長らが非公式に集まり、値上げ幅の具体的な目標を定めるなどしていたとみられる。不適切な情報交換は長年続いていた可能性があるという。
国内のビール市場は4社がシェアのほとんどを占める寡占市場で、国税庁によるとビールと発泡酒の2024年の国内売上金額は計約1兆6000億円に上る。4社は2022年10月と2023年10月、2025年4月に相次いでビール類を値上げしており、各社は原材料費やエネルギー価格の高騰などを理由に挙げていた。公取委の岩成博夫事務総長は7日の定例記者会見で、原材料費上昇などを受けた値上げ自体は問題視しないとしつつ、「価格設定はそれぞれの事業者が独立して行う必要がある」と強調した。
公取委による犯則調査権限の適用は、昨年9月の石油製品販売会社による軽油カルテル事件以来となる。飲食料品を巡る公取委の強制調査は初めてで、公取委がカルテルを認定した場合、対象期間の売上額などを基に算出される課徴金は市場規模の大きさから高額に上る可能性がある。
4社はいずれも公取委の調査を受けている事実を認め、「調査に全面的に協力していく」とコメント。サントリーは「多くの方にご心配をおかけしておりますこと、深くおわび申し上げます」と謝罪した。消費者の生活に密接に関連する商品を巡る巨大カルテル疑惑だけに、今後の調査の行方と刑事告発の可否が注目されている。
公取委がカルテルを認定した場合、対象期間の売上額などを基に算出される課徴金は、市場規模の大きさから高額に上る可能性がある。4社はいずれも調査への全面的な協力を表明しており、公取委の判断が業界に与える影響は大きい。