カナダのコンビニ大手アリマンタシオン・クシュタールは2024年8月からセブン&アイ・ホールディングスに7兆円規模の買収提案を行っていたが、2025年7月16日に「建設的な協議の欠如」を理由に提案を撤回した。日本企業史上最大級の買収劇は、実現することなく幕を閉じた。
クシュタールは「サークルK」などを運営する世界的なコンビニ運営企業だ。2024年8月、セブン&アイ・ホールディングスへの買収提案を公表。当初、セブン&アイ側は「企業価値を著しく過小評価している」と反発したが、クシュタールは買収金額を7兆円規模に引き上げ、交渉は長期化した。クシュタールが狙っていたのは、北米でトップに立つセブン&アイのコンビニ事業だったとされる。
対抗策として検討されたのが、創業家によるMBO(経営陣買収)だった。しかし8兆円から9兆円とされた資金調達にめどが立たず、2025年2月に断念。5月に秘密保持契約を結んでクシュタールとの買収協議が本格化したが、2カ月ほどで交渉は打ち切りとなった。
買収劇の終結後、セブン&アイ・ホールディングスは単独での価値創造路線を進めている。祖業のスーパー事業などを分離した中間持ち株会社「ヨーク・ホールディングス」を米投資ファンドのベインキャピタルに8100億円で売却し、コンビニ事業への集中を図った。北米のコンビニ子会社の株式上場も2026年度後半までに目指している。
買収劇の終結で、セブン&アイ・ホールディングスは経営の主導権を取り戻した。ただ、物言う株主からの圧力は続いており、企業価値向上への要求は強い。コンビニ事業への集中戦略が実を結ぶか、デイカス社長の手腕が問われている。
2025年5月に就任した外国人社長のスティーブン・ヘイズ・デイカス氏の下、セブン&アイ・ホールディングスは業績改善と企業価値向上に取り組んでいる。買収の脅威は去ったが、市場の厳しい視線は続いており、単独成長路線の成否が問われている。