トヨタ自動車は2024年6月、型式指定申請における認証不正が発覚し、豊田章男会長が緊急会見で謝罪した。ダイハツ工業、日野自動車、豊田自動織機に続くグループ全体の不正で、日本の製造業の信頼を揺るがす事態となった。
発覚したのは、量産に必要な「型式指定」の申請過程での不正行為だ。歩行者保護試験などでのデータの不備や、実際とは異なる条件での試験実施などが確認され、7車種が対象となった。国土交通省は立ち入り検査を実施し、是正命令を出した。対象車種の生産・出荷停止にも追い込まれ、販売現場や取引先に大きな影響が広がった。
豊田章男会長は会見で深く頭を下げ、再発防止を約束した。しかし、トヨタグループでは2022年3月の日野自動車の排出ガス・燃費データ不正、2023年12月のダイハツ工業の衝突試験不正(全車種の出荷停止に発展)、2024年1月の豊田自動織機のエンジン認証不正と、不正が相次いで発覚していた。グループ全体に広がった不正の連鎖に、「トヨタ生産方式」の行き過ぎた効率重視や、現場への過度なプレッシャーが背景にあるとの指摘が出ている。
日本の自動車産業は、品質と信頼を最大の強みとして世界市場をリードしてきた。その牙城であるトヨタグループでの相次ぐ不正は、海外からも厳しい視線を浴びた。国土交通省による監視強化や、業界全体での認証制度の見直しにもつながっている。
認証不正の問題は、トヨタグループのガバナンスのあり方を根本から問い直すものとなった。国土交通省は型式指定制度の運用の見直しにも着手しており、業界全体のコンプライアンス強化が進んでいる。現場の声を拾い上げる仕組みづくりが、再発防止の鍵を握ると指摘されている。
トヨタ自動車は再発防止策の策定と企業風土の改革を進めているが、失われた信頼の回復には長い時間がかかるとみられている。日本のものづくりの象徴的存在の再生が問われている。