通信アプリ「LINE」の利用者情報など約51万件が流出した可能性があるとLINEヤフーが2023年に発表した問題をめぐり、総務省は2024年3月5日、同社に行政指導を行った。総務省は、LINEヤフーがITインフラの運用を主要株主である韓国のネイバーに業務委託しており、強い依存関係があるうえ管理監督を適切に行っていなかったと指摘。資本関係の見直しを含むグループ全体での再発防止を求めた。

流出の経路は、ネイバーの子会社「ネイバークラウド」のサーバーへの不正アクセスだったとされる。漏洩した可能性があるのは、LINEアプリの利用者や取引先、従業員らの個人情報など約51万件。LINEは国内で月間約9600万人が利用する国民的アプリであり、事態の深刻さが浮き彫りになった。

総務省は4月16日にも2度目の行政指導を行い、7月1日までに具体的な対策を報告するよう求めた。韓国側は強く反発し、韓国外務省は「韓国企業に対する差別的措置はあってはならない」と声明を発表。韓国大統領府もネイバーと緊密に協議しているとの立場を示した。

LINEヤフーは2024年5月8日、ネイバーとの業務委託を終了すると発表。資本関係については、LINEヤフーの株式64.4%を保有するAホールディングスがネイバーとソフトバンクの50対50の合弁会社であることから、見直しには両社の合意が必要とされる。出澤剛社長は「再発防止に努め、全社を挙げて安心してご利用いただける環境を作る」と述べた。日韓の外交問題にも発展したこの情報漏洩事件は、国民的インフラを運営する企業のガバナンスの在り方を問うことになった。

LINEは2011年にサービスを開始し、韓国のネイバー系企業が開発した通信アプリとして国内で月間約9600万人に利用される国民的インフラに成長した。現在はネイバーとソフトバンクの50対50の合弁会社であるAホールディングスがLINEヤフーの株式64.4%を保有しており、システム運用をネイバーに大きく依存してきた構造が今回の問題の背景にあるとされる。総務省は再発防止策の実施状況について3カ月ごとの報告を少なくとも1年間求めており、同社の対応が引き続き注視されている。