2023年11月、LINEヤフーはLINE利用者ら最大約44万件の情報が流出した可能性があると発表した。韓国のNAVER Cloudの委託先PCがマルウェアに感染し、共通の認証基盤を経由して不正アクセスされたのが原因。総務省は2度の行政指導でNAVERとの資本関係見直しまで求め、日韓の外交問題にも発展した。
2023年11月27日、LINEヤフー(同年10月にZホールディングス、LINE、ヤフーの合併で発足)が発表した。流出の可能性があるのは、LINE利用者の年代や性別、スタンプ購入履歴などのユーザー利用情報が最大約30万件、取引先や従業員に関する情報を含めると最大約44万件にのぼった。トークの内容や銀行口座、クレジットカードの情報は含まれておらず、情報の悪用による被害の報告は確認されていないとしている。
不正アクセスの経緯はこうだ。韓国NAVER Cloudの委託先企業の従業員が持つPCがマルウェアに感染。NAVER CloudとLINEヤフーが従業員情報を扱う共通の認証基盤を共有していたため、この経路を通じて2023年10月9日に不正アクセスが行われた。LINEヤフーのセキュリティ部門が10月17日に不審なアクセスを検知して調査を開始し、27日に外部からの不正アクセスの可能性が高いと判断してアクセスを遮断した。公表まで約1カ月を要した理由について、ログの分析や影響範囲の調査に時間がかかったと説明した。
事態を重く見た総務省は2024年3月5日と4月16日の2度にわたり行政指導を実施。NAVERとのネットワーク分離に2年以上かかるとの見通しを示したことを問題視し、資本関係の見直しまで求めた。韓国側では「日本政府がLINEを奪おうとしている」との反発が広がり、韓国政府も遺憾を表明する外交問題に発展した。LINEヤフーはNAVERへの業務委託の見直しとシステム分離の前倒しを表明。統合前のLINE時代の2021年にも中国の委託先から日本の利用者情報が閲覧可能になっていた問題が発覚しており、個人情報管理の甘さが改めて問われた。
LINEヤフーは2023年10月1日、Zホールディングス、LINE、ヤフーの合併で発足した国内最大級のテック企業。船出直後の不祥事に、経営陣は「深く反省し、再発防止に努める」と謝罪した。統合前のLINE時代にも、2021年3月に中国の業務委託先から日本の利用者の個人情報が閲覧可能な状態になっていたことが発覚しており、情報管理の甘さが繰り返し指摘されてきた。
総務省の行政指導は2024年3月5日と4月16日の2度にわたり、NAVERとのネットワーク分離に2年以上かかるとの見通しを示したことを問題視。資本関係の見直しまで求めたことに対し、韓国では「日本政府がLINEを奪おうとしている」との反発が広がり、韓国外交部も遺憾を表明する外交問題に発展した。LINEヤフーはNAVERへの業務委託の見直しとシステム分離の前倒しを表明し、信頼回復を急いでいる。
LINEヤフーはNAVERとのシステム分離を前倒しで進め、認証基盤の分離やネットワークの切り分けを段階的に実施している。委託先の管理体制の見直しや、外部専門家を交えた再発防止策の策定も進められた。
一方、韓国ではこの問題が政治化し、2024年の総選挙でも争点の一つとして取り上げられた。「LINEを守れ」との世論を背景に、韓国政府は日本政府に公正な対応を求める姿勢を示した。日韓のデジタル主権をめぐる対立の象徴として、この問題は両国関係にも影を落とし続けている。
LINEヤフーはNAVERとのシステム分離を段階的に進め、認証基盤の切り分けやネットワークの分離を実施してきた。委託先管理の見直しや、外部専門家を交えた再発防止策の策定も進められている。ただ、分離の完了にはなお時間を要するとみられており、総務省は進捗の報告を求め続けている。
韓国ではこの問題が「LINEヤフー事態」として政治問題化し、2024年の総選挙でも争点の一つとなった。日本政府による行政指導が「韓国企業いじめ」と受け止められ、両国のデジタル主権をめぐる対立の象徴となった。日韓関係の改善基調の中で、この問題の最終的な着地点が注目されている。