2026年9月19日に開幕した愛知・名古屋アジア競技大会が、連日の運営トラブルで世界中から厳しい視線を浴びている。選手輸送バスの未配車、韓国国歌と北朝鮮国歌の取り違え、コンテナ型宿舎での水漏れや男女同室の配宿ミス、食事の量に対する海外選手の猛抗議など、トラブルの種類は宿泊・輸送・式典・食事・競技運営と多岐にわたり、国内メディアだけでなくロイターやAPなど国際通信社も報じる事態に発展している。32年ぶりの日本開催にもかかわらず、開幕からわずか数日で「史上最悪」という声すら上がり始めた。

最も早い段階で表面化したのが宿泊関連の問題だ。名古屋港ガーデンふ頭に設置された約200棟のコンテナ型宿舎では、1人用ベッドの長さが195センチしかなく、2メートル近い長身選手は足がはみ出してしまう。韓国のバスケットボール選手がトイレの洗面台から水が漏れる映像を「助けてください」の一言とともにSNSへ投稿し、大韓体育会が急きょホテルの部屋を確保する騒ぎになった。さらに男女の選手が同室に割り当てられるケースやダブルブッキングも発生し、ロイターもこの配宿ミスを確認する記事を配信した。

さらに深刻だったのが、インドやタイ、中国の選手団が入国した際に運営側の不備で宿泊施設へのチェックイン手続きが滞り、数時間から十数時間も放置されたケースが報告されたことだ。疲労のあまり床に横たわっているタイの選手の写真がSNSで拡散され、各国メディアがこぞって報道した。インドメディアは、インド政府が乗り出して同国選手を名古屋周辺の在日インド人家庭に滞在させていると報道した。

その裏側では、フランス・リヨンに本社を置くイベント企業GL eventsが約630億円規模で大会のベニューオペレーションを一括受託していたことが明らかになっている。そして大会関連とみられる「バス受付・運行サポート業務の現場責任者」がタイミーで時給1400円で募集されていたことがネット上で大きな波紋を呼んでいる。2021年東京五輪の汚職・談合事件で国内大手広告代理店が事実上排除された影響が、今大会の運営体制にまで及んでいるとの指摘もある。

大会組織委員会の会長代行も務める広沢名古屋市長は9月30日の会見で「ご迷惑をおかけした選手・関係者の方にはおわび申し上げなければいけない。不手際があったことは、真摯に反省しなければいけない」と謝罪し、トラブルの背景にヒューマンエラーや選手団との連絡不足があったとして再発防止に取り組む考えを示した。しかし、韓国メディアはコンテナから脱出した韓国男子バスケットボールチームが12年ぶりの決勝進出を果たしたことを「コンテナ脱出が決勝進出につながった」と報じるなど、大会の混乱ぶりを象徴するエピソードは後を絶たない。