暴露系YouTuberとして知られ、2022年7月の参院選でNHK党の比例代表として約28万7000票を得て初当選したガーシー(東谷義和氏)参院議員が、当選から一度も国会に登院しないまま、2023年3月15日に参議院本会議で除名の懲罰処分を受けた。国会議員に対する除名処分は1951年にGHQ批判をした川上貫一衆議院議員以来72年ぶりのことだった。

ガーシー議員は当選後もドバイに滞在し、芸能人の暴露を続けることを公約としていた。「暗殺や不当逮捕の恐れがある」として帰国および国会への出席を拒否し、2022年の第209回・第210回国会、翌2023年1月召集の第211回国会にも出席しなかった。尾辻秀久参院議長は国会法に基づき出席を促す「招状」を発出し、参院懲罰委員会は「議場での陳謝」の懲罰を決定した。

3月8日に予定されていた本会議での陳謝をガーシー議員が欠席したことから、懲罰委員会は3月14日、最も重い「除名」の懲罰案を全会一致で可決。翌15日の参院本会議で記名投票による採決が行われ、賛成235反対1で除名が決定した。自由民主党の世耕弘成参院幹事長は「再三の呼びかけや議場での陳謝にも応えることなく、無視し続けた結果として、このような懲罰に至ったことは大変遺憾だ」と述べた。

除名の翌日の3月16日には、著名人を脅迫するなどした疑いで警視庁がガーシー氏に逮捕状を発行。国際手配も行われた。ガーシー氏は帰国を拒み続けていたが、2023年6月4日にドバイから帰国し、成田空港で警視庁に逮捕された。その後、常習脅迫などの罪で起訴された。

議員が一度も登院することなく除名され、逮捕に至るという前代未聞の経過は、日本の政治と選挙制度のあり方に大きな議論を巻き起こした。

ガーシー議員の除名に伴い、3月24日には齊藤健一郎氏が繰り上げ当選した。また、一連の騒動の中で、NHK党は2023年3月8日に立花孝志党首が引責辞任し、党名を「政治家女子48党」に変更している。参院選で約28万7000票を得て比例代表で当選した議員が、一度も登院することなく除名され、さらに逮捕・起訴に至るという経過は、選挙制度や議員の身分保障のあり方について、日本の政治に大きな問いを残した。