ミュージシャンで俳優のピエール瀧が2019年3月12日、コカインを使用したとして麻薬取締法違反の疑いで関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕された。自宅の家宅捜索でコカインを吸引したとみられる痕跡が見つかり、尿検査でも陽性反応が出た。電気グルーヴのメンバーとして音楽活動を続ける一方、俳優としても多くの作品に出演していた最中の逮捕だった。

逮捕を受け、所属事務所は契約を解除。電気グルーヴは活動を休止した。出演作品への影響も甚大で、公開間近だったディズニー映画『アナと雪の女王2』のオラフ役は武田真治に交代。大河ドラマ『いだてん』では出演シーンが撮り直された。2019年6月18日、東京地裁は懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

判決確定後、瀧は2020年から音楽活動を再開し、電気グルーヴも活動を再開した。薬物事件を起こした芸能人の出演作品の公開停止や差し替えをめぐっては「作品に罪はない」との議論も起こり、配信時代における過去作品の扱いという新たな課題を提起した一件でもあった。

電気グルーヴは活動を再開し、石野卓球との2人組としてライブ活動を続けている。瀧は俳優としても復帰し、映画やドラマへの出演を重ねている。出演作品の配信停止や差し替えをめぐっては、公開後に「作品に罪はない」として配信が再開されるケースも増え、薬物事件と作品の扱いについての議論は今も続いている。

瀧の逮捕は、薬物事件における芸能人の社会的責任をめぐる議論を再燃させた。所属事務所の契約解除や作品の差し替えといった厳しい対応は、スポンサーや放送局のコンプライアンス意識の高まりを反映している。一方で、執行猶予中の更生を支援する仕組みの必要性を指摘する声もあり、薬物依存を病として捉える視点も広がりつつある。

瀧の事件をきっかけに、放送業界では出演者のコンプライアンスチェックが強化された。一方で、過去の作品を一律に封印することへの疑問の声も根強い。